利点
説明
コスト効率
初期導入(装置費)と運用(材料・保守)いずれも他方式と比べて一般に低コストです。ホビー、スモールビジネス、教育機関でも導入しやすいのが特長です。
材料の多様性
PLA、ABS、PETG など各種熱可塑性樹脂に加え、金属・木材・カーボンファイバー充填などの複合フィラメントにも対応。強度、柔軟性、耐熱性など所望の特性に応じて材料を選択できます。
使いやすさ
原理がわかりやすく操作も容易で、初心者からプロまで扱いやすい技術です。多くのデスクトップ機が採用し、直感的なソフトウェアで層ごとに造形します。
カスタマイズ性と複雑形状
コストへの影響を抑えつつ高いカスタマイズや複雑形状を実現。従来加工では困難・高価な試作、カスタム治工具、ユニークな製品設計に有用です。
項目
Fused Deposition Modeling(FDM)
Fused Filament Fabrication(FFF)
定義
熱可塑性フィラメントを連続的に用いる 3D プリント方式。
FDM と同一の方式だが、商標問題を避けるために用いられる用語。
商標
1991 年に Stratasys が商標登録。
RepRap コミュニティが商標制限なく使える用語として提唱。
プロセス
加熱ノズルから材料を押し出し、層状に堆積して形状を構築。
同一プロセス:加熱ノズルから熱可塑性材料を押し出し、層状に造形。
材料
ABS、PLA、PETG、ナイロン等のプロプライエタリなスプールを使用しがち。
非専用の標準フィラメントを広く利用でき、一般に低コスト。
用途
試作、教育、最終使用部品の製造に利用。
同様に、試作・教育・機能部品の生産に利用。
プリンター流通
主に Stratasys など商用メーカーから提供。
多様なメーカーから広く流通し、オープンソース設計も多数。
コスト
専用材料や装置費により総じて高め。
オープンソースと競争環境により一般に低コスト。
コミュニティ支援
商用サポートが中心。
フォーラム、DIY ガイド、改造情報などコミュニティ支援が豊富。
イノベーション
専用制約により進展が緩やかな場合あり。
制約が少なく、オープンソース主導で迅速に進化。
設計項目
ガイドライン
理由
肉厚
最小 0.8 mm、推奨 1.2 mm 以上
薄すぎると強度不足で、造形中や使用時に破損の恐れがあります。
オーバーハング
45° 以内。超える場合はサポート必須
45° を超えると、支持なしでは垂れや崩れが発生しやすくなります。
サポート
可能な限り不要となる設計を心がける
サポートは材料消費と後処理時間を増やし、コスト上昇につながります。
造形方向
サポート最小化と表面品位向上の両立を目指して最適化
方向は強度・外観・造形時間に影響します。
ブリッジ
短く設定(理想は 5 mm 未満)
長いブリッジは垂れやすく、品質低下につながります。
穴
直径 2 mm 以上で設計。小径は後加工を検討
材料流動や冷却の影響で小径穴は閉塞・変形しやすいため。
インフィル
高強度が必要な部位では密度を上げる
強度は向上する一方、材料消費と造形時間が増加します。
レイヤー高
一般に 0.1 ~ 0.3 mm
小さいほど表面は滑らかになるが、造形時間は長くなります。
トップ/ボトム厚
最小 0.6 mm、推奨 1.2 mm 以上
上下面の充実を確保し、しっかりした形成を実現します。
コーナー
面取りやフィレットの追加を検討
応力集中と層間剥離のリスクを低減します。
筐体・はめ合い
組立用クリアランスを十分に確保(目安 0.5 mm 以上)
組立性を高め、造形ばらつきに対応します。
ディテール解像度
最小特徴寸法 0.8 mm
ノズル径の制約により、より小さい特徴は再現困難です。
公差
一般に ±0.5 mm(形状・サイズにより変動)
造形プロセスと材料挙動に内在するばらつきを見込むため。